飲食店開業で必要なものは、営業許可などの手続き、店舗・厨房設備、調理・接客備品、採用や会計の仕組みです。ただし、90項目を一律に買えば開業できるわけではありません。営業内容を固め、管轄窓口へ図面を持って相談したうえで、メニューと作業動線から必要数を決めます。
物件契約や内装工事を先行させ、施設基準に合わなければ追加工事が必要になり得ます。では、どれを「必須」「業態次第」「開業後でもよい」に分けるのか。90項目で線引きします。
飲食店開業に必要なものは4種類に分けて考える
準備対象は「営業資格」「場所と設備」「日々使う備品」「運営の仕組み」の4種類です。
2026年7月24日時点で、飲食店営業は食品衛生法上の許可対象です。厚生労働省は、営業許可申請や営業届出をオンラインで行えると案内する一方、業種の選択や記載内容は管轄保健所への確認(新しいタブで開きます)を求めています。自治体の施設基準、消防署への届出、警察署が扱う深夜の酒類提供に関する届出などは、業態・規模・地域で変わります。
各項目に「法令・契約上必要」「営業初日から必要」「売上やメニューに応じて追加」の3段階で印を付けます。
飲食店開業に必要なものリスト90
事業計画・資金(1〜10)
- 1. 店のコンセプト
- 2. 想定顧客
- 3. 商品・メニュー構成
- 4. 価格表
- 5. 席数と回転数の前提
- 6. 売上・原価・人件費の計画
- 7. 初期投資の見積書
- 8. 運転資金の計画
- 9. 自己資金の確認資料
- 10. 創業計画書
計画と見積もりは一緒に更新します。日本政策金融公庫は、創業計画の作成資料や相談窓口を創業支援ページ(新しいタブで開きます)で案内していますが、融資実行を保証するものではありません。
物件・インフラ(11〜20)
- 11. 店舗賃貸借契約書
- 12. 用途・営業制限の確認
- 13. 店舗平面図
- 14. 厨房と客席の動線図
- 15. 電気容量
- 16. ガス容量
- 17. 給排水能力
- 18. 換気・排気経路
- 19. 空調設備
- 20. 廃棄物・廃油の保管場所
提供メニューに必要な容量と配置を優先します。契約前、遅くとも着工前に、貸主・保健所・消防署・施工会社へ同じ図面を示して確認します。
許可・届出・管理書類(21〜35)
- 21. 飲食店営業許可申請
- 22. 食品衛生責任者
- 23. 施設検査の予約
- 24. HACCPに沿った衛生管理計画
- 25. 衛生管理の実施記録
- 26. 開業・設立に関する税務手続
- 27. 青色申告の承認申請の検討
- 28. 給与支払に関する税務手続
- 29. 労働保険の成立手続
- 30. 雇用保険の対象確認
- 31. 社会保険の適用確認
- 32. 防火対象物使用開始等の届出確認
- 33. 防火管理者・消防計画の要否確認
- 34. 深夜酒類提供飲食店営業開始届出の要否確認
- 35. 酒類を持ち帰り販売する場合の免許確認
厚生労働省の営業規制案内(新しいタブで開きます)では、営業許可制度に加えて営業届出制度も示されています。また、原則として食品等事業者にはHACCPに沿った衛生管理が求められるため、衛生管理計画と記録(新しいタブで開きます)は開店前に運用を試します。
税務書類は、個人事業か法人か、青色申告を選ぶか、給与を支払うかで変わります。国税庁の事業を始めたときや法人を設立したときの案内(新しいタブで開きます)で該当書類と期限を確かめ、必要に応じて税務署や税理士へ確認します。
労働者を1人でも雇う事業は原則として労働保険の成立手続が必要ですが、労災保険と雇用保険では加入対象が異なります。健康保険・厚生年金も、法人か個人か、従業員数や労働時間などで扱いが変わります。厚生労働省の労働保険案内(新しいタブで開きます)と日本年金機構の新規適用手続(新しいタブで開きます)を確認し、労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所へ相談してください。
厨房設備(36〜50)
- 36. 冷蔵庫
- 37. 冷凍庫
- 38. 加熱調理機器
- 39. 炊飯・保温機器
- 40. シンク
- 41. 手洗い設備
- 42. 給湯設備
- 43. 調理台
- 44. 食器洗浄機
- 45. 製氷機
- 46. 換気フード・ダクト
- 47. グリストラップ
- 48. 食器・器具の収納設備
- 49. 温度計
- 50. 消火器などの消防用設備
シンクや手洗い設備の仕様、消防設備の設置要件は店舗ごとに異なります。一定の建物では防火管理者の選任や消防計画の作成も必要です。消防庁の防火管理制度(新しいタブで開きます)を確認し、設備購入前に管轄消防署へ相談します。
調理・衛生備品(51〜65)
- 51. 包丁
- 52. まな板
- 53. 鍋・フライパン
- 54. ボウル・ざる
- 55. 計量器具
- 56. トング・レードル
- 57. 保存容器
- 58. ラベル・油性ペン
- 59. ふきん・ペーパー類
- 60. 洗剤・消毒剤
- 61. 清掃用具
- 62. ごみ箱
- 63. 作業着・帽子
- 64. 使い捨て手袋
- 65. 従業員の健康・体調確認記録
同じ器具でも、生食用と加熱後用をどう分けるかで必要数は変わります。メニューごとに「受入れ、保管、下処理、加熱、盛付け、提供、洗浄」をたどり、交差汚染を避けられる数と保管場所を決めます。
客席・提供備品(66〜77)
- 66. テーブル
- 67. 椅子
- 68. 食器
- 69. グラス・カップ
- 70. カトラリー・箸
- 71. トレー
- 72. メニューブック・店内表示
- 73. 卓上調味料容器
- 74. おしぼり・ナプキン
- 75. 会計トレー
- 76. 傘立て・荷物かご
- 77. トイレ用品
食器数は席数だけで決めません。ピーク時の注文構成、洗浄時間、破損時の予備を踏まえ、収納できる上限との両方から決めます。
会計・情報管理(78〜85)
- 78. レジ・POS
- 79. 決済端末
- 80. 釣銭
- 81. 領収書・伝票
- 82. 会計・給与管理の方法
- 83. 売上・仕入・在庫の記録表
- 84. 電話・インターネット回線
- 85. 予約・顧客情報の管理方法
決済手段は、手数料に加えて通信障害時の代替会計と、個人情報へのアクセス権限まで決めて選びます。
採用・開店準備(86〜90)
- 86. 労働条件通知書(雇用契約書との兼用を含む)
- 87. シフト表
- 88. 接客・衛生・事故対応マニュアル
- 89. 仕入先と発注ルール
- 90. 開店前リハーサルと改善記録
必要数はメニューと動線から逆算する
まず全メニューについて、使用する食材、器具、加熱機器、食器、洗浄場所を書き出します。次に、同時注文が入ったときに共有できない機器と器具を特定します。最後に、厨房と客席の図面上で「食材」と「使用済み食器」の動線がぶつからないかを確認します。
買うか迷うものは、次の表で判定できます。
| 判定 | 判断基準 | 対応 |
|---|---|---|
| 必須 | 許可・安全・主力メニューに欠かせない | 仕様を窓口や施工会社と確認して開店前に用意 |
| 業態次第 | 注文数や提供方法で必要数が変わる | リハーサル後に数量を確定 |
| 後から追加 | 代替でき、営業許可や安全に影響しない | 保管場所と資金を残して段階導入 |
中古やリースでは、寸法、電源・ガス規格、排熱、清掃性、保証、修理体制を確認します。安価でも施設基準に合わず、主力商品を止める機器なら負担は小さくなりません。
90項目を開業日から逆算して並べる
最優先は営業内容、物件条件、許認可の整合です。契約前に用途や容量を確認し、着工前に保健所と消防署へ相談します。その後、長納期の厨房設備、日常備品、採用・教育の順でそろえます。税務・労務の期限は管轄窓口で確認します。
飲食店開業に必要なものは90品の固定セットではありません。「必須・業態次第・開業後」の線引きは、許可と安全に関わるか、主力メニューを止めるか、代替できるかで決まります。窓口の確認結果を書き戻せば、買い漏れと過剰投資を抑えやすくなります。