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飲食店開業の準備スケジュール|1年前からの流れ10ステップ

飲食店開業の準備スケジュールを、1年前から当日までの10ステップで整理。資金計画、物件、許認可、工事、採用をいつ始め、何を確認して次へ進むかがわかります。

飲食店開業の準備スケジュールは、開店予定日の1年前を起点に、コンセプト、事業計画、資金調達、物件、許認可、設計・工事、仕入れ、採用、販促、開店準備の10ステップで整理できます。各工程を順番に終えるのではなく、物件探しと資金計画のように、結果を照らし合わせながら固める工程もあります。

気に入った物件を先に契約すると、希望する営業に必要な設備や工事があとから判明するおそれがあります。1年前という期間は期限を示すものではありません。契約や着工といった戻りにくい判断の前に、確認時間を確保するための起点です。では、各工程をいつ「次へ進めてよい」と判断すればよいのでしょうか。

以下は2026年9月12日時点の公的情報を基にした一般的な目安です。営業許可の施設基準、消防、用途・建築、深夜の酒類提供、税務、労務などは、業態や所在地、雇用形態によって手続きと所要期間が異なります。必ず契約や着工の前に管轄窓口へ確認してください。

資金、届出、物件選びを含む準備全体の確認項目は、飲食店開業の完全ガイドにまとめています。

飲食店開業の準備スケジュール|1年前から当日まで

開店までの目安ステップ次へ進む判断基準
12〜10か月前1. コンセプトを決める誰に、何を、どの価格帯・利用場面で提供するかを言葉にできる
11〜9か月前2. 商圏・競合を調べる想定客と候補地の人流、競合、自店の違いを説明できる
10〜8か月前3. 事業計画と資金計画を作る必要資金、調達方法、売上・費用の根拠がそろう
9〜6か月前4. 資金調達を進める自己資金と調達見込みの範囲で投資上限を決められる
9〜5か月前5. 物件を探して適合性を確認する許認可・工事・契約条件を確認し、総投資額を再計算できる
6〜3か月前6. 設計・工事と許認可相談を進める図面を管轄窓口へ相談し、工期と申請日程を置ける
4〜2か月前7. メニュー・仕入れ・価格を固める原価、作業手順、設備能力を踏まえて提供可能と判断できる
3〜1か月前8. 採用と運営ルールを整える必要人数と役割が決まり、衛生・接客の教育日を確保できる
2か月〜2週間前9. 販促と開店告知を行う営業日時、メニュー、予約方法など確定情報を案内できる
1か月前〜当日10. 検査・訓練を経て開店する許可、設備、在庫、動線、会計、緊急時対応を確認できる

時期は店舗規模や物件の状態で前後します。表の日付を守ることより、契約・発注・告知など後戻りに費用がかかる判断の前に、右欄を満たすことが重要です。

準備開始が1年前を切っている場合の優先順位

準備期間が半年、3か月と短い場合も、表の前半を飛ばして直前準備だけを始めるのは避けます。まず、次の順に未確認事項を減らしてください。

  1. 開店予定日を仮置きする:契約や許可の確認状況に応じて動かせる日付として置きます。
  2. 投資上限と営業条件を確かめる:資金調達の見込みと、候補物件で希望する営業ができるかを契約前に確認します。
  3. 工事・申請・検査を逆算する:図面を管轄窓口へ相談し、着工、申請、現地検査、是正に必要な日程を組みます。
  4. 開店日を確定してから告知する:許可と工事の見通しが立った段階で、採用、研修、販促の期限を決めます。

短縮してよいのは待ち時間や重複作業であり、営業の適法性や安全性を確かめる工程ではありません。間に合わない場合は、開店日、店舗規模、提供メニューのいずれかを見直します。

1.コンセプトを決める

業態名だけでは、物件も設備も選べません。想定する客、利用場面、主力商品、価格帯、席数、営業時間を一枚にまとめます。テイクアウト、酒類提供、製造・小売などを行うかも早めに書き出しましょう。営業内容が増えれば、必要な許可や設備が変わる可能性があるためです。

この段階で決めるのは、後の数字と設計を選別できる条件です。「おしゃれな店」のような印象だけでは判断に使えません。日本政策金融公庫の「創業の手引+(飲食版)」(新しいタブで開きます)も、ターゲット、商品・サービス、立地、販売戦略などを具体化する構成です。

2.商圏と競合を調べる

候補地では、曜日・時間帯を変えて人の流れ、近隣施設、競合店の価格帯や営業時間を観察します。人通りが多ければ十分でしょうか。想定客が通らない、来店動機が弱い、家賃を吸収できないなら適地とはいえません。

観察結果は「会社員が多い」で終えず、どの時間帯に、どの利用場面で選ばれるかまで事業計画へ反映します。競合の有無とともに、自店が選ばれる理由を説明できるかを確かめます。

3.事業計画と資金計画を作る

必要資金には、物件取得、内外装、厨房設備、什器、仕入れ、採用・販促に加え、開店後の支払いに備える資金も含めます。売上は「席数×回転数×客単価×営業日数」などに分解し、費用は見積書や仕入条件で確かめます。

数字を先に置くと、構想の幅が狭まるように感じるかもしれません。家賃や工事費の上限が見えれば、資金計画に合わない物件を候補から外せます。公庫の創業計画書でも、必要資金と調達方法、事業の見通しを分けて整理します。融資を使う場合は審査期間を見越して早めに相談し、承認前の契約が資金繰りへ与える影響も検討してください。融資の実行は保証されません。

4.資金調達を進める

自己資金、融資、出資などについて、金額だけでなく実行時期を確認します。内装工事の着手金や物件の初期費用は、開店前に支払いが発生します。資金が「調達できそう」でも、支払日に間に合わなければ工程は進みません。

公的融資を検討する場合は、最新の制度、対象要件、必要書類を金融機関の公式窓口で確認します。申込み前には、見積書、創業計画、自己資金を確認できる資料など、案内された書類をそろえます。

5.物件は契約前に営業可能か確かめる

立地と賃料が合っても、希望業態で営業できるとは限りません。賃貸借契約の用途、営業時間や看板・工事の制限、電気・ガス・給排水・排気の容量、厨房区画、手洗い設備、ごみ置場、避難経路などを確認します。居抜きでも、以前の許可をそのまま引き継げると決めつけてはいけません。

厚生労働省の営業規制に関する案内(新しいタブで開きます)では、飲食店営業は営業許可の対象として整理され、施設基準は都道府県等が条例で定めます。平面図と提供内容を持って管轄保健所へ事前相談し、必要に応じて消防、建築・用途の担当窓口にも確認したうえで契約を判断します。

6.設計・工事と許認可相談を並行する

設計者や施工会社へ、メニュー、調理工程、席数、必要設備を共有します。図面が固まった後で設備不足がわかると、変更費用と遅れが生じます。着工前の図面相談を工程に入れ、申請、現地検査、是正の可能性まで含めて開店日から逆算します。

厚生労働省の食品衛生責任者に関する通知(新しいタブで開きます)は、原則として食品等事業者が施設の衛生管理を担う者を定める仕組みを示しています。調理師など所定の資格がない場合は、都道府県知事等が行うか適正と認める養成講習会の受講が選択肢です。講習日程や資格要件は所在地の案内を確認しましょう。

7.メニュー、仕入れ、価格を固める

試作では味だけでなく、調理時間、歩数、盛り付け、洗浄、廃棄、保存方法まで確かめます。注文が重なったときに厨房設備と人員で提供できるか、仕入れが止まったときに代替できるかも判断材料です。

価格は原価だけで決めず、家賃、人件費、水道光熱費、決済手数料などを含む収支計画に戻して確認します。メニュー変更で新たな製造・販売形態が加わる場合は、追加の許可や届出が必要か保健所へ再確認します。

8.採用と運営ルールを整える

営業時間から必要な役割と人数を割り出し、募集、面接、雇用手続き、研修の日程を置きます。接客だけでなく、手洗い、温度・期限管理、清掃、体調不良時の対応、アレルギー情報の伝達、事故時の連絡先を共有します。

雇用に伴う労働保険・社会保険などは、事業形態や人数で扱いが異なります。労働基準監督署、公共職業安定所、年金事務所など、該当する管轄窓口で期限と必要書類を確認してください。

9.確定情報だけで販促する

店名、場所、営業日時、主力メニュー、価格、予約方法を整え、店舗前、Web、SNSなどで告知します。許可や工事の見通しが立たないうちに開店日を大きく告知すると、延期時の訂正が増えます。検査日と是正期間を見込んだうえで公開範囲を広げるのが安全です。

集客施策は来店を保証するものではありません。どの案内から予約や来店につながったかを記録できる状態にし、開店後の改善につなげます。

10.検査と営業訓練を終えて開店する

営業許可の申請や営業届出には、厚生労働省の食品衛生申請等システム(新しいタブで開きます)を利用できます。利用できる手続き、申請内容、必要書類、検査日程は、営業所を所管する保健所へ確認してください。許可が必要な業態では取得前に営業を始めず、消防・税務など自店に該当する手続きも別に管理します。

開店前には、実際の注文から会計、片付けまで通して確認します。

  • 営業許可など、営業開始に必要な手続きが完了している
  • 食品衛生責任者と日々の衛生管理方法が決まっている
  • 厨房機器、空調、給排水、会計端末が稼働する
  • 納品、保管、仕込み、提供、洗浄の動線を通して試した
  • 価格、アレルギー情報、営業時間の表示に食い違いがない
  • 体調不良、火災、設備故障、欠品時の連絡・判断手順がある
  • 開店後の支払い予定と手元資金を再確認した

一つでも営業の適法性や安全性に関わる未確認事項があれば、予定日を守ることより解消を優先します。

1年前から始める意味は「契約前に確かめる時間」を持つこと

飲食店開業の10ステップは一直線ではありません。コンセプトを数字にし、数字に合う物件を探し、物件の見積もりを再び資金計画へ戻す。この往復を終えてから契約し、図面相談、工事、申請へ進むのが基本です。

冒頭の問いへの答えは、次へ進む基準を日付より先に決めることです。1年前から準備できるなら、最初の3か月で「誰に何を提供するか」「投資上限はいくらか」「候補地で営業可能か」を確かめます。準備期間が短い場合も、物件契約前の管轄窓口への確認は省略せず、開店日や規模を調整してください。