本文へ移動
ミセビラキ

飲食店の喫煙ルール|新規開業で客席と従業員に説明すること

飲食店の開業時に迷う喫煙ルールを整理。新規店は原則屋内禁煙から検討し、喫煙室の種類、標識、従業員対応、自治体確認を一枚の表で決め、確認結果を残す手順が分かります。

飲食店を新規開業するなら、喫煙ルールは「小さな店なら店内で吸える」と考えず、原則屋内禁煙から設計します。一般の飲食店で喫煙を認める場合は、喫煙だけを行う部屋にするのか、加熱式たばこに限って飲食もできる部屋にするのかを、提供内容と従業員の作業まで含めて決めなければなりません。

客への説明は店頭と喫煙室入口の標識、従業員への説明は立入禁止・担当・動線・清掃・求人表示に分けて準備します。ただし、全国ルールだけを見て標識を発注するのは早計です。自治体の条例が表示や選択条件を上乗せする場合があるため、所在地を決めた後の確認結果まで記録して、初めて店舗の運用が固まります。

飲食店の開業では喫煙可の既存店特例を前提にしない

厚生労働省「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」(新しいタブで開きます)の「2 用語の定義(5)既存特定飲食提供施設」では、既存店向けの経過措置について、2020年4月1日時点で営業していたこと、個人または原則として資本金5,000万円以下の会社が経営すること、客席面積100平方メートル以下であることの全要件を示しています。2026年9月21日時点で、これから開業する店は最初の要件を満たさないため、この経過措置を出発点にはできません。

物件が小さい、以前の店が喫煙可だった、居抜きで喫煙設備が残っている、といった事情だけで新しい営業主体の扱いは決められません。まず自店の業態と施設区分を確認し、一般の飲食店なら第二種施設の原則屋内禁煙を基準にします。物件を決める段階では、喫煙区画を置く前提が営業内容や従業員動線と両立するかも確認します。設備を含む検討順序は飲食店の物件選びで確認したい条件も合わせて整理し、契約前の確認事項に加えます。

業態・区域・標識を一行で決める確認表

次の表は、公式資料の一般原則を基に記事が提案する実務上の記録方法であり、原典所定の分類・義務ではありません。各行を「候補」のまま放置せず、設計図、店頭表示、シフト、求人情報に反映できる状態まで具体化します。

確認欄全面禁煙を選ぶ場合喫煙室を検討する場合店舗で残す記録
業態・施設区分一般飲食店として計画しているかを確認一般飲食店に設ける喫煙室として選択肢を確認営業内容と該当区分、確認した公式資料
屋内の区域と提供行為客席・厨房・従業員区域を含む屋内の扱いを統一喫煙専用室か指定たばこ専用喫煙室かを選び、室内で飲食を提供するか記載平面図上の区域名、たばこの種類、提供行為
客向け標識所在地自治体が禁煙表示を求めるか確認施設の主な出入口と各喫煙室入口に必要な種類を確認掲示場所、標識名、確認日
従業員の作業全面禁煙であることを求人・教育内容に反映20歳未満の立入をなくし、20歳以上にも動線と清掃方法を設定年齢別の担当可否、シフト、清掃手順、説明日
自治体確認独自条例による店頭表示の有無を確認条例の追加条件、表示、相談・手続の要否を管轄窓口に確認自治体名、窓口、確認事項、回答日、参照ページ

表の役割は、標識だけを単独で選ばないことにあります。「喫煙室あり」と決めたら、関連する各欄で室内の提供行為、入れる従業員、清掃方法、自治体の追加条件まで確定させます。未確認欄があれば、開業時の説明も未完成です。

区域と提供行為を取り違えない

厚生労働省「飲食店/事業者のみなさまへ」の「チェック1 設置可能な2つの喫煙室」(新しいタブで開きます)によると、一般の飲食店を含む第二種施設は原則屋内禁煙です。基準に適合する喫煙専用室では喫煙できますが、飲食等はできません。指定たばこ専用喫煙室では加熱式たばこに限って喫煙でき、飲食等もできます。これは2026年9月21日時点の確認内容です。

したがって、「喫煙席を設けたい」だけでは設計条件になりません。確認表には、紙巻きたばこを含む喫煙だけの区域なのか、加熱式たばこに限って飲食を伴う区域なのかを書きます。喫煙専用室に料理を運ぶ運用は、喫煙専用室では飲食等を認めない区分と矛盾します。反対に、飲食できることだけを見て、指定たばこ専用喫煙室で紙巻きたばこも扱えると解釈することもできません。

客席のレイアウトと営業許可の準備は別々に進めず、厨房や客席の計画と突き合わせます。手続全体は飲食店営業許可の申請準備と流れで整理しつつ、受動喫煙対策の施設区分や地域の表示は、所在地を管轄する窓口へ個別に確認してください。

標識は店頭と室入口を分けて記録する

同ページ「チェック6 その他、改正法のポイントについて」では、喫煙可能な設備を持つ施設には標識が必要とされ、施設の主な出入口に掲げる標識が案内されています。ガイドライン「3(2)エ 標識の設置・維持管理」も、喫煙できる場所の出入口と施設の主たる出入口の見やすい場所への掲示を示しています。

確認表の標識欄には「対応済み」とだけ書かず、店頭用と室入口用を分け、選んだ喫煙室の区分と標識名が一致しているかを残します。客が入店前に店舗の状態を判断する表示と、店内で立入区域を判断する表示では、確認する場所が異なるからです。標識を掲げた後も、区域や提供行為を変えたときは、表の記載と表示の組み合わせを見直します。

客席の表示と従業員への説明は別に準備する

喫煙可能エリアには、客か従業員かを問わず20歳未満を立ち入らせてはいけません。厚生労働省の飲食店向けページ「チェック6」は、喫煙目的でなくても立入禁止であると説明しています。ガイドライン「4(1)20歳未満の者の立入禁止」では、案内だけでなく、喫煙専用室等での清掃作業も20歳未満の労働者に行わせないよう示しています。2026年9月21日時点で、接客をしない清掃なら任せられる、という切り分けはできません。

20歳以上なら説明なしで配置できるわけでもありません。ガイドライン「4(3)20歳以上の労働者に対する配慮」は、勤務シフト、業務分担、動線を工夫し、受動喫煙を望まない労働者が喫煙区域に入らずに済むよう配慮することを示しています。清掃は喫煙者がいない状態で、換気により室内のたばこの煙を排出した後に行うことも示されています。

開業前の従業員向けチェックは、次の単位で担当と説明日を残します。

  • 受動喫煙防止対策の担当者を決め、相談先を共有したか
  • 店内の禁煙区域と喫煙可能区域を図面で説明したか
  • 20歳未満が接客、配膳、片付け、清掃で喫煙可能区域へ入らない割当か
  • 20歳以上についても、本人の意向と動線を踏まえて業務を分けたか
  • 喫煙室の清掃を無人かつ換気後に行う手順を決めたか
  • 求人時に就業場所の受動喫煙防止措置を明示したか

これは客向けの店頭表示では代替できません。ガイドライン「3(2)イ・オ・カ」は、担当者等の指定、労働者への対策内容の教育、求人時の明示をそれぞれ示しています。標識の写真だけで完了とせず、担当、作業可否、清掃条件、説明履歴を確認表に結び付けます。

自治体の上乗せは全国共通の手続として書かない

厚生労働省の飲食店向けページ「チェック6」には、自治体独自の条例で受動喫煙防止に関する義務が定められている場合があるため、詳細は各自治体へ問い合わせるよう記載されています。確認先や手続名を全国一律だと考えず、店舗所在地の公式ページと管轄窓口で確かめます。

地域差の具体例が東京都です。東京都多摩府中保健所「飲食店における受動喫煙防止対策について」(新しいタブで開きます)の冒頭表示表では、禁煙の場合も店頭に禁煙表示が必要で、喫煙室を設置する場合は店頭と喫煙室入口の双方に所定表示が必要とされています。さらに「喫煙室の設置について」の選択判定では、東京都の既存小規模飲食店について、国の既存店要件に加えて従業員を雇用していないことも挙げています。同ページの更新日は2026年5月28日で、内容は2026年9月21日に確認しています。

これは東京都の例であり、他地域の表示や手続へ一般化はできません。表の自治体確認欄には、所在地、参照した公式ページ、相談窓口、質問、回答日を記録します。質問は「禁煙表示は必要か」「選んだ室区分に追加条件があるか」「店頭と室入口で必要な表示は何か」のように、計画中の業態と区域を示して行います。回答を得たら、標識欄と従業員欄へ戻して差分を反映します。

開業前に説明できる状態を完成条件にする

新規開業店の完成条件は、既存店の経過措置に当てはめることではありません。一般飲食店なら原則屋内禁煙を基準にし、喫煙を認める場合だけ、喫煙専用室か指定たばこ専用喫煙室かを提供行為とセットで選びます。そのうえで、客には店頭と室入口の表示で伝え、従業員には年齢、担当、動線、清掃、求人時明示を分けて伝えます。

確認表の各行を見て、客から「どこで何を吸え、飲食できるか」と聞かれたとき、従業員から「自分はどの区域で何を担当するか」と聞かれたときの両方に答えられるかを確認します。自治体欄が未確認なら標識は確定していません。区域と従業員欄がつながっていなければ運用も確定していません。必要なのは、所在地の公式情報を確認した日と回答の記録。設計図、表示、シフト、求人情報が同じ判断を示した時点で、開業準備の喫煙ルールが実務に落ちます。